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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻8号

2010年07月発行

症例報告

In-transit metastasisを認めたeccrine porocarcinomaの1例

著者: 渡辺彩乃1 手代木智美1 櫻井英一1 佐藤隆亮1 馬場俊右1 遠藤幸紀1 森志朋1 前田文彦1 高橋和宏1 赤坂俊英1 大原学2

所属機関: 1岩手医科大学皮膚科学教室 2赤坂病院皮膚科

ページ範囲:P.600 - P.604

文献概要

要約 68歳,女性.2008年7月に左肩の紅色皮疹を自覚した.翌年1月より急激に増大したため,当科を受診した.左肩に35×33mm大の紅色腫瘤を1個認め,皮膚生検にて,eccrine porocarcinoma (EPC)と診断した.腫瘤の7時方向に,小豆大の紅色小結節が新生し,腫瘍のin-transit metastasisが疑われた.腫瘍切除術と左腋窩リンパ節郭清術に加えて,subtotal integumentectomy(STI)を施行した.In-transit metastasis病巣のD2-40染色で,リンパ管内腫瘍塞栓が確認された.さらにこの病巣で経表皮排出現象が認められた.自験例のin-transit metastasis 病巣の所見から,EPC腫瘍細胞のリンパ管接着能と表皮向性が高いことが示唆され,リンパ節転移をきたしやすい理由と考えられた.EPCはin-transit metastasisを含め転移しやすい腫瘍であることを念頭に置き,適切な治療に当たることが肝要と考えた.

参考文献

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8) 宮崎美智代, 他:皮膚臨床41: 333, 1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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