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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻8号

2010年07月発行

症例報告

浸潤性紅斑を呈した皮膚Crohn病の1例

著者: 宮本樹里亜12 石橋正史1 長坂武1 陳科榮1

所属機関: 1済生会中央病院皮膚科 2慶應義塾大学病院皮膚科

ページ範囲:P.623 - P.627

文献概要

要約 28歳,女性.下痢,発熱,咳嗽,関節痛のため入院した.四肢に圧痛を伴う浸潤性紅斑が出現し,口腔内アフタ,肛囲潰瘍を伴っていた.皮膚病理組織学的所見では,脂肪隔壁の線維化と小葉内の多核巨細胞を伴う肉芽腫性炎症細胞浸潤を認め,皮膚Crohn病の病変と考えた.下部消化管内視鏡では結腸に縦走潰瘍がみられ,Crohn病が疑われたが,腸管病理組織学的所見では肉芽腫性炎症所見は認めなかった.腸管症状と皮膚病理組織学的所見を合わせて検討し,Crohn病と診断した.プレドニゾロン 50mg/日,メサラジン3,000mg/日を開始したところ,消化器症状,皮膚症状ともに速やかに軽快した.皮膚Crohn病の臨床像は多彩であるが,病理組織学的所見はいずれも非乾酪性類上皮細胞肉芽腫性病変を呈するため,皮膚生検が重要である.

参考文献

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9) 桶渡信夫, 他:Med Prac3: 1576, 1986

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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