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症例報告
膵癌を伴った皮下結節性脂肪壊死症の1例
著者: 青島正浩1 津嶋友央1
所属機関: 1富士市立中央病院皮膚科
ページ範囲:P.659 - P.662
文献購入ページに移動要約 75歳,男性.初診の約1か月前より両下肢に自発痛,圧痛を伴う表面紅褐色の皮下結節が多発した.結節は硬く球状に触れ,可動性は良好であった.組織学的にはghost-like fat cellを認め,皮下結節性脂肪壊死症と診断した.腹部症状はなくアミラーゼの上昇も軽度であったが,膵疾患の存在を考え精査した.その結果,リパーゼ,トリプシンなどの膵酵素値が著明に上昇しており,CTにて膵体尾部に膵癌が確認された.外科的治療の適応はなく保存的に治療したが,皮疹出現から3か月の経過で死亡した.本症は内臓疾患を発見しうる皮膚疾患の1つである.特徴的な臨床像,組織像を示せば,膵疾患について精査すべきである.
参考文献
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