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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻9号

2010年08月発行

文献概要

症例報告

神経線維腫症1型患児に生じたfibrous hamartoma of infancyの1例

著者: 高山有由美1 小林里実1 江崎奈緒子2 藍原康雄3 斎藤加代子4

所属機関: 1聖母病院皮膚科 2聖母病院小児科 3東京女子医科大学脳神経外科学教室 4東京女子医科大学附属遺伝子医療センター

ページ範囲:P.663 - P.667

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要約 10か月,男児.生下時より全身に大小の褐色斑が多発し,神経線維腫症1型として精査中であった.1週間前,左乳房下方の皮下結節に気づいた.結節は弾性硬で小豆大に触れ,下床との可動性は良好であった.局所麻酔下に全摘した.病理組織像は皮下組織に交錯する線維性組織,好塩基性の細胞質を有する未分化間葉系細胞の集塊,成熟脂肪細胞の3成分で構成されていた.線維性組織をなす線維芽細胞様細胞,未分化間葉系細胞はビメンチン陽性で,デスミン,α-smooth muscle actinは陰性であった.未分化間葉系細胞に混在する印環状あるいは胞体に小空胞を有する細胞はS100蛋白陽性を呈し,脂肪細胞への分化と考えた.本症は急速に増大する単発性の皮下腫瘤として発見され,自然消退しない.特に神経線維腫症1型患児に生じた場合,神経線維腫や他の間葉系腫瘍との鑑別を要する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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