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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻9号

2010年08月発行

文献概要

症例報告

著明な浮腫により膠原線維間に裂隙が生じ,水疱様外観を呈した石灰化上皮腫の1例

著者: 中野倫代1 若林正一郎1 末廣敬祐1 外川八英1 鎌田憲明1 神戸直智1 松江弘之1

所属機関: 1千葉大学大学院医学研究院皮膚科学

ページ範囲:P.669 - P.672

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要約 18歳,女性.初診の3か月前より左上腕外側に皮下結節を自覚した.2か月前より表面が紅色調となり,水疱様外観を呈した.単純X線で皮下に石灰化像,超音波検査で後方エコーの消失を認め,石灰化上皮腫を疑い全摘術を施行した.病理組織検査にて,皮下の腫瘍はbasophilic cellとshadow cellより構成される石灰化上皮腫であり,腫瘍直上の真皮には著明な浮腫と拡張した管腔構造を認めた.水疱様外観を呈する機序として,外的刺激によりリンパ管の狭窄や閉塞が起こり,それによりリンパ管の拡張や真皮の浮腫が生じるためとされてきた.しかし,自験例では管腔構造は,第Ⅷ因子関連抗原陰性に加え,リンパ管内皮と反応する抗D2-40抗体陰性であり,管腔様構造を呈した変化は,著明な浮腫により膠原線維間に裂隙が生じたものと推測した.

参考文献

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9) 舟橋美雪, 他:皮膚臨床40: 1365, 1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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