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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻9号

2010年08月発行

文献概要

症例報告

AIDS関連Kaposi肉腫の1例

著者: 鈴木俊彦1 種瀬啓士1 若林亜希子1 宮川俊一1 艫居祐輔2

所属機関: 1川崎市立川崎病院皮膚科 2川崎市立川崎病院内科

ページ範囲:P.691 - P.695

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要約 64歳,男性.全身倦怠感,胸痛および頭痛の主訴で2009年3月,当院内科に入院した.入院前より,四肢に点在する紫褐色斑,結節を認めていた.病理組織学的に,病変部に一致して紡錘型細胞が密に不規則平行に増生し,vascular slitsを形成していた.血液検査で,リンパ球372/μl,CD4陽性T細胞8/μl,抗HIV抗体陽性であった.以上より,本症例をAIDS関連Kaposi肉腫と診断した.入院時より,緑膿菌敗血症,サイトメガロウイルス感染症,カリニ肺炎を併発し,各種抗生剤および抗ウイルス薬にて加療するも軽快がみられず,同年9月,永眠した.本邦におけるAIDS関連Kaposi肉腫の報告例は,過去25年間で増加傾向にある.HIV患者が増加している今日,紫褐色局面をみた場合,本疾患を考える必要がある.

参考文献

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12) Mocroft A, et al: Cancer100: 2644, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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