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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻9号

2010年08月発行

文献概要

治療

ヒアルロン酸注入が有効であった進行性顔面片側萎縮症の1例

著者: 松尾光馬1 伊東秀記1 高見洋2 中川秀己1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学皮膚科学講座 2タカミクリニック南青山

ページ範囲:P.713 - P.717

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要約 34歳,男性.初診の9年ほど前から右頬部に陥凹が出現した.他の部位には同様の所見を認めず,口蓋,舌の萎縮もない.病理組織学的には,真皮浅層から中層の血管周囲性にリンパ球中心の細胞浸潤を認めた.MRI所見では陥凹部に一致して軟部組織の容積が減少していたが,脳,骨などの器質的変化はみられなかった.以上より,進行性顔面片側萎縮症と診断した.患者が形成外科的な治療を希望しなかったため同部にヒアルロン酸(レスチレイン®)2mlを注入した.施術直後から整容的な面で満足が得られ,3か月が経過しても効果は持続していた.ヒアルロン酸を用いたfillerによる治療は,ダウンタイムがなく効果的であり,今後,軽症,中等症の進行性顔面片側萎縮症においては考慮すべきと考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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