臨床皮膚科65巻1号

2011年01月発行

症例報告

皮下脂肪織に限局した滑膜肉腫の1例

著者： 中村善雄¹ 吉田和恵¹ 布袋祐子¹

所属機関： ¹荻窪病院皮膚科

ページ範囲：P.52 - P.56

文献概要

要約　83歳，女性．2か月ほど前より右大腿外側に径3.8×1.8cm，境界明瞭な弾性やや硬の皮下腫瘤が出現した．組織では皮下脂肪織内に比較的境界明瞭な腫瘍を認め，一部では出血・壊死を伴った．腫瘍は円形の細胞が管腔様構造あるいは裂隙を形成する上皮様構造を示す部分と，紡錘形細胞が密に増生し線維肉腫様の像を示す二相性増殖を認めた．一部に粘液変性と多数の核異型，分裂像があり，組織学的に二相性の滑膜肉腫と診断した．滑膜肉腫は大関節部にみられる肉腫であるが，皮下脂肪織内に限局した症例はきわめて稀である．

参考文献

1) 飯島宗一，他：組織病理アトラス，文光堂，p336, 1990

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