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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻1号

2011年01月発行

文献概要

症例報告

紅斑を主訴に受診した急性型成人T細胞白血病/リンパ腫の1例

著者: 岩渕千雅子1 中村元泰1 荻原護久1 大橋則夫1 関東裕美1 石河晃1 伊藤正俊1

所属機関: 1東邦大学医学部皮膚科学第一講座

ページ範囲:P.61 - P.65

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要約 60歳,男性,北海道,日高出身.3か月前より背部と前胸部にかゆみを伴った紅斑が出現した.近医で加療を受けたが,紅斑が多発,拡大し受診した.受診時,体幹,四肢に浸潤を触れる紅斑が多発し,薬疹を考えた.しかし,末梢血で花弁状の核を有する異型リンパ球の増加を認め,抗HTLV-I抗体陽性より成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)の特異疹と診断した.皮膚病理組織でCD4陽性の異型リンパ球浸潤とHTLV-IプロウイルスDNAの組込みを認め,急性型ATLLと確定診断した.骨髄と脳脊髄液にも異型リンパ球の浸潤を認め,多剤併用化学療法を開始し,皮疹の改善とともに異型リンパ球数の減少を認めた.ATLLは多彩な皮膚症状を生じる.薬疹やウイルス感染症を思わせる中毒疹様の皮疹との鑑別に,ATLLも考慮する必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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