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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻1号

2011年01月発行

症例報告

体表リンパ流分布に沿い広範囲に皮疹が分布した習慣性丹毒の1例

著者: 志賀建夫1 岸本英樹1 青木奈津子1 樽谷勝仁1 佐野栄紀1

所属機関: 1高知大学医学部皮膚科学講座

ページ範囲:P.67 - P.71

文献概要

要約 56歳,女性.両側腋窩リンパ節に転移をきたした進行期乳癌(stage Ⅳ)のため当院外科にて手術,放射線療法,化学療法を受けていた.初診の3日前より38℃台の発熱とともに,右上肢に発赤が出現したため,当院外科を受診した.セフジニルカプセル(セフゾン®)内服により解熱したものの,体幹の広い範囲に紅斑が出現してきたため当科を紹介された.右上肢に小水疱,小膿疱をのせる発赤,腫脹がみられ,体幹の広い範囲に不整形の紅斑を認めた.約3週間クリンダマイシンリン酸エステル(ダラシン®)の点滴投与とスルタミシリントシル酸塩水和物(ユナシン®)内服治療を行い,皮疹は完全に消退したが1か月後に敗血症を伴い再燃した.習慣性丹毒と診断し抗生剤長期投与を継続している.自験例の特異な臨床像は両側腋窩リンパ節転移によるリンパ流うっ滞のためと考えた.

参考文献

1) 檜垣修一,西嶋攝子:最新皮膚科学大系,第14巻,中山書店,p79, 2002
2) 北島拓弥,他:皮膚臨床 24:1017, 1982
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4) 熊谷知子,他:皮膚病診療 23:389, 2001
5) 伊藤あおい,高橋正明:臨皮 52:526, 1998
6) Chartier C, Grosshans E:Int J Dermatol 29:459, 1990
7) 角田孝彦,他:皮膚臨床 48:987, 2006
8) 平沢 興,岡本道雄:分担解剖学2 脈管学・神経系,金原出版,p155, 1982

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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