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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻1号

2011年01月発行

文献概要

症例報告

猫からの感染が考えられたMicrosporum canisによる体部白癬の1例

著者: 佐藤之恵1 西本和代1 大内結1 深澤奈都子1 鈴木亜紀子1 吉田哲也2 佐藤友隆1

所属機関: 1国立病院機構東京医療センター皮膚科 2慶應義塾大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.73 - P.76

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要約 44歳,女性.初診の2週間前より鼻部,頸部,両前腕に掻痒を伴う落屑性紅斑が出現し,受診した.猫11匹を飼育しており,うち2匹に脱毛斑があった.患者鱗屑からのKOH直接鏡検では多数の真菌要素を認めた.また,患者鱗屑と猫2匹のヘアブラシ法による真菌培養で糸状菌が分離された.分離菌を形態学的所見と分離菌のリボゾームRNA遺伝子(rDNA)のITS(internal transcribed spacer)領域塩基配列結果と合わせてMicrosporum canisと同定し,自験例を猫から感染した体部白癬と診断した.患者,猫ともに治療し,室内の十分な掃除や感染に関与すると思われる寝具やマットの洗濯などの居住環境の整備を行い,再発なく経過している.再発予防のために真菌培養を中心とした感染源の特定が必要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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