icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻10号

2011年09月発行

文献概要

症例報告

ブレオマイシンによるflagellate erythemaの1例

著者: 加茂真理子1 白樫祐介1 藤本篤嗣1 杉浦丹1

所属機関: 1静岡市立清水病院皮膚科

ページ範囲:P.763 - P.767

文献購入ページに移動
要約 69歳,男性.Hodgkinリンパ腫に対し,ドキソルビシン,ブレオマイシン,ビンブラスチン,ダカルバジン(ABVD)療法を施行した.第1クール2回目終了後,両手掌・後頸部に強い掻痒感を自覚した.掻破により両手掌に小豆大~うずら卵大の浸潤を伴う紅色局面,後頸部には線状に隆起する紅斑が出現した.無治療で症状は改善したが第2クール目開始に伴い,皮疹が再燃した.非典型疹であったが,ブレオマイシン皮膚炎(flagellate erythema)と診断し,ブレオマイシンを除いた3剤の化学療法を継続したところ,皮疹は再燃しなかった.掻破行動はflagellate(鞭で叩いたような)erythemaの誘発・増悪因子となる.ブレオマイシン投与後に掻痒感が出現した際には,早期にこれを抑制することが症状の増悪防止に役立つと考えた.

参考文献

1) Maryann M, et al:J Drugs Derma 4:81, 2005
2) 大塚秀人:日皮会誌 90:1015, 1980
3) Moulin G, et al:Bull Soc Fr Dermatol Syphilign 77:293, 1970
4) Cohen IS, et al:Arch Dermatol 107:553, 1973
5) Dunagin WG:Semin Oncol 9:14, 1982
6) 池田重雄,他:治療 56:946, 1974
7) Silveira JCG, et al:An Bras Dermatol 81:83, 2006
8) vonHilsheimer GE, et al:J Am Acad Dermatol 46:642, 2002
9) Duhra P, et al:Clin Exp Dermatol 16:216, 1991
10) Gómez Centeno P, et al:Clin Exp Dermatol 23:239, 1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?