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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻10号

2011年09月発行

文献概要

症例報告

TS-1®によるDLE型薬疹の1例

著者: 長谷川文子1 小川浩平1 福本隆也1 小林信彦1 浅田秀夫1

所属機関: 1奈良県立医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.768 - P.772

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要約 67歳,男性.肝細胞癌に対してTS-1®内服を開始したところ,約2週間後より露光部を中心に軽度の角化を伴う紅斑,丘疹が出現した.病理組織学的に,表皮真皮境界部の液状変性,付属器周囲のリンパ球浸潤,真皮内のムチン沈着を認めた.蛍光抗体直接法は免疫グロブリンおよび補体の沈着を認めなかった.血液検査で抗SS-A抗体12.2U/ml(初診から6週間後)と軽度上昇を認めた.5-FU軟膏®(as is,10% pet),TS-1®(10% pet)による貼布試験,光貼布試験はいずれも陰性で,TS-1®によるDLST(薬剤リンパ球刺激試験)も陰性であった.病歴と臨床所見よりTS-1®によるDLE型薬疹と診断し,薬剤の中止とアルメタ軟膏®(プロピオン酸アルクロメタゾン)外用により約4週間で皮疹は消退した.皮疹の発症機序として,薬剤によるケラチノサイトへの直接傷害のほか,紫外線による基底細胞への障害,自己免疫的機序などが関与しているものと推察された.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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