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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻10号

2011年09月発行

文献概要

症例報告

多発する回腸潰瘍を伴ったHenoch-Schönlein紫斑病の1例

著者: 村井五月1 石黒直子1 川島眞1

所属機関: 1東京女子医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.778 - P.782

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要約 45歳,女性.2007年1月に腹・背部痛を伴い,下腿に紫斑が出現した.Henoch-Schönlein紫斑病とそれに伴う消化器病変を疑われ,緊急入院した.両下腿全周性に米粒大までの浸潤を触れる紫斑が多発し,生検像では真皮上層の血管周囲に好中球,リンパ球の浸潤と核塵,赤血球漏出像を認めたが,血管壁は比較的保たれていた.蛍光抗体直接法では免疫グロブリンは沈着していなかった.血中IgAが上昇していた.入院時の腹部超音波・CT,上・下部消化管内視鏡検査では腹痛の原因病変は検出できなかったが,小腸鏡にて多発性の回腸潰瘍を確認した.プレドニゾロン40mg/日で開始後,便潜血・ヘモグロビンを指標にして減量を行い,約4か月で中止したが,再燃はない.Henoch-Schönlein紫斑病では,小腸病変の合併を念頭に置く必要があり,小腸病変の検索には小腸鏡とともに,CT検査を複数回施行することも有用である.

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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