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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻10号

2011年09月発行

文献概要

症例報告

頸部に生じたヒアリン血管型Castlemanリンパ腫

著者: 東野俊英1 崎山真幸1 浅野千賀1 阿部浩之1 青木繁1 藤本典宏1 小林孝志1 多島新吾1

所属機関: 1防衛医科大学校皮膚科学教室

ページ範囲:P.783 - P.786

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要約 16歳,男性.2年前より左前頸部に皮下腫瘤を自覚した.44×53mm大の楕円形の境界明瞭,弾性軟で下床との可動性が良好な腫瘤を認めた.MRI所見では神経系腫瘍が疑われ,全身麻酔下で手術を行った.術中,胸鎖乳突筋の深部,内頸静脈の外側に腫瘤を認め,全摘した.病理組織学的に,一部融合傾向を示すリンパ濾胞と,その周囲に壁の硝子化を伴った高皮質細静脈の増生を認め,ヒアリン血管型のCastlemanリンパ腫と診断した.CT,PETでは,他部位に明らかな病変を認めず,単中心性と診断した.術後8か月後の現在,再発徴候なく経過観察中である.Castlemanリンパ腫は縦隔を中心とした胸腔内,頭頸部に好発するまれなリンパ増殖性疾患であり,本症例のような単中心型は切除のみで良好な予後が期待できる.しかしながら,多中心型では種々の重篤な症状を合併するため,対症療法や化学療法が行われる.

参考文献

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11) Taniguchi K, et al:Int J Hematol 90:99, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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