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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻10号

2011年09月発行

文献概要

症例報告

下腿に硬結を触れる紅斑が多発し,血管壁の破壊を伴ったサルコイドーシスの1例

著者: 村井五月1 石黒直子1 川島眞1

所属機関: 1東京女子医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.787 - P.790

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要約 40歳,女性.2009年7月より出現した下腿の紅斑を主訴に受診した.初診時,両下腿に圧痛を伴う径20mmまでの小型の硬結を触れる紅斑が多発していた.生検像では,炎症の主座は真皮血管周囲であり,リンパ球,組織球を主体とする炎症性細胞浸潤と類上皮細胞肉芽腫を認めた.一部の血管では血管炎の像も呈していた.血中ACEとリゾチームは上昇し,ガリウムシンチグラフィで,両眼,肺門など複数の部位に明らかな集積像をみた.眼科精査にて網膜静脈周囲炎,胸部X線・CTにて両側肺門リンパ節腫脹を認めた.下腿の紅斑は無治療で約2か月後にはすべて消退し,網膜静脈周囲炎はステロイドの結膜下注射で軽快した.サルコイドーシスの皮膚病変で下腿に硬結を触れる紅斑を生じる場合には,結節性紅斑,結節性紅斑様皮疹のほかに,血管周囲性に肉芽腫を認め,血管壁の障害を伴うタイプもある.

参考文献

1) 岡本祐之:最新皮膚科学大系,9巻,中山書店,p258, 2002
2) 福代良一:現代皮膚科学大系,18巻,中山書店,p277, 1984
3) 清水順子,他:日皮会誌 120:79, 2010
4) 林周次郎,他:日皮会誌 118:416, 2008
5) 戸田素子,他:臨皮 57:712, 2003
6) 岡本玲子,他:臨皮 56:941, 2002
7) 佐藤直哉,他:皮膚病診療 20:51, 1998
8) 矢島千穂,他:皮膚臨床 39:859, 1997

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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