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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻10号

2011年09月発行

文献概要

症例報告

Generalized morphea-like systemic sclerosisの1例

著者: 高橋友理1 石黒直子1 川島眞1

所属機関: 1東京女子医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.801 - P.805

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要約 55歳,女性.10年来Raynaud症状があり.初診の約8年前より両前腕,両手背に褐色斑が出現し,その後,軀幹に拡大したため,2004年11月に初診した.初診時,両手背~前腕伸側に左右対称性に浸潤の触れない比較的境界明瞭な紅褐色斑があり,項部から前胸部,上背部にかけても同様の紅褐色斑と,その周囲と腰部に大豆大までの紅褐色斑がみられた.爪郭部に出血点を認めたが,皮膚硬化は明らかではなかった.前腕,背部の紅褐色斑の生検像では明らかな硬化はなく,経過観察していた.2005年3月頃より手指の浮腫性硬化が出現し,紅褐色斑の辺縁部の紅斑が増強し,中央部は光沢を生じてきた.大腿にも同様の紅斑が出現したため,2006年10月に左前腕と背部から再度生検を施行し,前腕部で膠原線維の増生を認めた.以上よりgeneralized morphea-like systemic sclerosisと診断し,11月よりプレドニゾロン30mg/日の内服を開始したところ,2か月で紅斑は退色し,硬化も徐々に軽快を認め,2010年11月現在,5mg/日を継続中である.炎症症状の先行後に非連続性の硬化局面を生じた経過は本症として典型的であったが,Raynaud症状の出現後しばらく進行せず,その後急速に進行性となった点と軀幹に小型の紅斑を伴った点は非典型的であった.

参考文献

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15) 坂井絵里香,他:皮膚病診療 32:987, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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