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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻10号

2011年09月発行

文献概要

症例報告

巨大有茎性amelanotic melanomaの1例

著者: 宮下梓1 増口信一1 福島聡1 井上雄二1 石原剛1 松尾敦子2 城野昌義2 尹浩信1

所属機関: 1熊本大学大学院生命科学研究部皮膚病態治療再建学分野 2NTT西日本九州病院皮膚科

ページ範囲:P.811 - P.815

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要約 37歳,男性.左下腿の11.0×10.5×4.0cmの有茎性紅色腫瘤からの出血を主訴に紹介受診した.腫瘤は肉眼的に黒色調でなく,付属器腫瘍や有棘細胞癌などを考え生検した.病理組織でmalignant melanomaと診断した.左鼠径リンパ節は鶏卵大,腸骨リンパ節は母指頭大に腫脹し,CT,超音波でリンパ節転移を疑った.左鼠径~総腸骨リンパ節郭清術および,subtotal integmentectomyを施行した.原発巣は腫瘍から3cm離して筋膜を含めて切除し,分層植皮術施行した.病理組織はamelanotic melanomaで,鼠径,外・内腸骨リンパ節に転移を認め,pT4bN3M0 stageⅢC,Breslow's tumor thickness 18mmであった.後療法としてDAV-Feron療法2クール施行したが,術後5か月で腹痛,黒色便が出現し,上部消化管内視鏡検査で胃・十二指腸に多発する粘膜下腫瘍と同部からの出血を認め,生検でamelanotic melanomaの転移と診断した.本症例も初診後10か月で死の転帰をとったが,amelanotic melanomaの予後は通常のmalignant melanomaより不良といわれている.

参考文献

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9) 武石恵美子,他:Skin Cancer 21:376, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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