文献詳細
文献概要
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文献紹介 マトリプターゼはNetherton症候群モデルマウスにおける表皮プロカリクレインの活性化および疾患発症の引き金となる
著者: 厚木徹1
所属機関: 1慶應義塾大学
ページ範囲:P.790 - P.790
文献購入ページに移動 Netherton症候群(Netherton syndrome:NS)ではSPINK5 遺伝子の変異により,コード蛋白であるLEKTIを産生できないことから,顆粒層直上でのカリクレイン関連ペプチダーゼ(kallikrein-related peptidase;KLK)活性が亢進し,角層の全層剥離および慢性的な炎症反応を生じることは既に知られている.しかしながら,前駆体として分泌されるKLKが,どのようなメカニズムで活性化されるかについての詳細は不明であった.著者らは膜貫通型トリプシン様セリンプロテアーゼであるマトリプターゼが,表皮において発現があること,また自己消化による活性化により,蛋白質分解カスケードを誘導する特性を持つことに着目し,本分子がKLK前駆体活性化の引き金となり,NSの発症に関与すると仮定し,検証を行った.
著者らはまずβ-galレポーターアッセイにより,マトリプターゼがLEKTIと同じく表皮顆粒層および顆粒層直上で発現していることを確認した.また,蛍光基質を用いた消化実験より,KLK前駆体の自己活性化経路に比べ,マトリプターゼによるKLK5, 7前駆体活性化の度合いは顕著に高いものであった.さらにSPINK5 ,マトリプターゼをコードするSt14 のシングル/ダブルノックアウトマウスを作製したところ,マウス新生児においてSPINK5 -/St14 +ではNSに特徴的な角層の全層剥離が確認できたのに対して,SPINK5 -/St14 -では野生型と変わらず正常な形態を示した.また,リアルタイムPCRよる炎症性サイトカインの発現量解析より,TNF-α,IL-1β,IL-6,IL-13において,SPINK5 -/St14 +マウスでみられた発現の亢進が,SPINK5 -/St14 -では抑制されていた.
著者らはまずβ-galレポーターアッセイにより,マトリプターゼがLEKTIと同じく表皮顆粒層および顆粒層直上で発現していることを確認した.また,蛍光基質を用いた消化実験より,KLK前駆体の自己活性化経路に比べ,マトリプターゼによるKLK5, 7前駆体活性化の度合いは顕著に高いものであった.さらに
参考文献
Sales KU, et al:Matriptase initiates activation of epidermal pro-kallikrein and disease onset in a mouse model of Netherton syndrome. Nat Genet 42:676-683, 2010
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