icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻11号

2011年10月発行

文献概要

症例報告

歩行障害をきたし,ステロイドが著効したmorphea profundaの1例

著者: 眞海芳史1 塩田剛章1 安田文世1 森布衣子1 木花いづみ1

所属機関: 1平塚市民病院皮膚科

ページ範囲:P.863 - P.867

文献購入ページに移動
要約 79歳,男性.数か月前から左下腿の皮膚が硬くなり,歩行が困難になった.左大腿から左下腿,下腹,左前腕に帯状の光沢を有する皮膚硬化局面があり,特に左下肢は硬化のため膝関節の伸展が不能で歩行障害をきたしていた.皮膚症状以外にはRaynaud現象,嚥下障害,呼吸困難などはなかった.抗Scl-70抗体,抗セントロメア抗体は陰性であった.左下腿の局面と比較的新しい硬化局面である左前腕,下腿生検部位の対称部位の右下腿健常部からの生検を施行した.病理組織学的所見では筋膜から膠原線維の増生が始まり,脂肪織,真皮下層に膠原線維の増生,膨化が及ぶ変化をとらえることができ,morphea profundaと診断した.副腎皮質ステロイドの投与で症状は改善し,歩行可能となった.本症を他の限局性強皮症と異なる独立した疾患単位として位置付ける意義について考按を加えた.

参考文献

1) Su WP, Person JR:Am J Dermatopathol 3:251, 1981
2) 浅島信子,他:皮膚臨床 46:1195, 2004
3) 山路雅巳,他:皮膚臨床 38:571, 1996
4) 渡辺 玲,他:皮膚臨床 46:731, 2004
5) Person JR, Su WP:Br J Dermatol 100:371, 1979

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?