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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻11号

2011年10月発行

文献概要

症例報告

強皮症と閉塞性動脈硬化症の合併による右足趾潰瘍の1例

著者: 上田美帆1 谷崎英昭1 谷岡未樹1 松村由美1 宮地良樹1

所属機関: 1京都大学医学部大学院医学研究科皮膚科

ページ範囲:P.869 - P.873

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要約 79歳,女性.10年以上前より全身性強皮症(systemic sclerosis:SSc)があり,近医に通院していたが無治療であった.2009年10月より右足に疼痛が出現し潰瘍化した.2010年1月に右足第1,2,5足趾潰瘍の加療のため近医に入院し,SScに伴う末梢循環不全による足趾潰瘍として保存的治療を行ったが改善せず当院皮膚科に転院となった.糖尿病,高脂血症,高齢であることと片足のみの潰瘍であることから閉塞性動脈硬化症の合併を疑い,下肢血管造影を行ったところ浅大腿動脈の起始部から閉塞長18cmの完全閉塞がみられた.右大腿動脈-膝窩動脈バイパス術を施行したところ,皮膚組織灌流圧測定と足関節上腕血圧比測定にて右足の血流改善みられた.SScを背景に足趾皮膚潰瘍をみた場合,糖尿病の合併,高脂血症などのリスクファクターを有する場合や,片足のみの疼痛,皮膚壊死の場合は,閉塞性動脈硬化症の合併も考慮する必要があると考える.SScに生じた足趾潰瘍の原因として,血流評価の重要性を再認識した1例であった.

参考文献

1) Marks RM, et al:Arthritis Rheum 31:1524, 1988
2) Shapiro LS:J Rheum Dis 49:557, 1990
3) Leak A, et al:Ann Rheum Dis 49:557, 1990
4) 中安慎二,他:皮膚臨床 44:1587, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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