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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻11号

2011年10月発行

文献概要

症例報告

皮膚生検にて診断しえた血管内B細胞リンパ腫の1例

著者: 船井尚子1 小粥雅明1 杉山崇史2 柳生友浩3 橋爪秀夫4

所属機関: 1聖隷浜松病院皮膚科 2聖隷浜松病院神経内科 3聖隷浜松病院血液内科 4浜松医科大学皮膚科

ページ範囲:P.887 - P.890

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要約 70歳,男性.2009年4月以降,排尿障害と計3回の比較的速やかに回復する両下肢の脱力が出現し,その約1年3か月後からは認知機能の低下や性格の変化がみられるようになった.入院時,LDH 963IU/l,sIL2R 1,520U/mlと高値であり,頭部MRIでは血管支配領域に一致しない多発性虚血性病変を疑わせる所見がみられた.無症状の胸部の淡い紅斑から皮膚生検を施行し,病理組織像で真皮深層の小血管内にLCA陽性,L26陽性,CD79a陽性,CD3陰性の大型の異型細胞を認め,血管内B細胞リンパ腫と診断した.近年,本疾患の診断方法の1つとして,無疹部からのランダム皮膚生検が注目されている.しかし,皮疹部生検での腫瘍細胞陽性率はほぼ100%であり,皮疹の有無を注意深く観察して,生検部位を決定するべきと考えた.

参考文献

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10) 中原登志樹,他:神経内科 57:306, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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