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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻11号

2011年10月発行

文献概要

症例報告

皮下結節が多発したdiffuse large B cell lymphomaの1例―原発臓器による病理組織像の違いについて

著者: 鈴木薫1 林伸和2 竹中祐子1 川島眞1

所属機関: 1東京女子医科大学皮膚科学教室 2虎の門病院皮膚科

ページ範囲:P.891 - P.894

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要約 85歳,女性.半年前から軀幹に出現し,次第に増数した多発皮下結節を主訴に当科を受診した.初診時,軀幹に拇指頭大までの,常色から淡紅色で弾性硬の皮下結節が40個以上あった.頸部,腋窩の表在リンパ節を触知した.背部の皮下結節の病理組織像では,脂肪織に腫瘍細胞が集塊を形成し,個々の細胞は好塩基性で異型な核を有しCD20,CD79a陽性であった.胃,骨・骨髄,リンパ節にも病変を認め,diffuse large B cell lymphoma(DLBCL),Ann Arbor分類IV期と診断した.初診から34日目に急速な胸水貯留による呼吸不全により永眠した.DLBCLについて過去の本邦報告例の検討では,皮膚以外の臓器を原発とし皮膚病変を伴うDLBCLは予後不良例が多く,皮膚原発のものでは組織学的に脂肪織に病変の主体を認めないことから,自験例を皮膚以外の臓器に原発したDLBCLと考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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