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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻11号

2011年10月発行

文献概要

症例報告

頭部皮下腫瘤を契機に発見された肝細胞癌多発骨転移の1例

著者: 長島真由美1 藤村奈緒1 伊藤彩1 中村和子1 廣門未知子1 早川広樹2 池澤善郎3 蒲原毅1

所属機関: 1横浜市立大学附属市民総合医療センター皮膚科 2早川皮フ科クリニック 3横浜市立大学大学院医学研究科環境免疫病態皮膚科学

ページ範囲:P.895 - P.898

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要約 58歳,男性.慢性C型肝炎の治療中に頭部に皮下腫瘤が生じ漸次増大した.初診時,右前頭部から側頭部にかけて径7cm大,弾性軟のドーム状に隆起した皮下腫瘤がみられた.頭部CT,MRIで,頭蓋骨から頭蓋内外に浸潤する骨破壊性の腫瘍性病変があった.皮膚生検では,細胞質に好酸性の顆粒状物質を有し異型の強い細胞が,索状,シート状の組織構造を呈して充実性に増殖していた.免疫組織染色で,肝細胞癌に特異的とされるHep Par1染色が陽性であった.CT,MRIにて肝臓内に多数の占拠性病変と胸椎,肋骨の転移が認められ,肝細胞癌多発骨転移と頭骸骨転移に伴う皮下腫瘤と診断した.肝細胞癌の頭蓋骨転移の頻度は稀である.しかし原発巣の特異的症状が初期に出にくく,転移巣が初発症状となることがある.頭部皮下腫瘤の鑑別すべき疾患の1つとして注意が必要と考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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