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文献概要
症例報告
シャント瘤の1例
著者: 泉祐子1 本田まりこ1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学附属青戸病院皮膚科
ページ範囲:P.903 - P.906
文献購入ページに移動要約 63歳,女性.2010年5月,3年来使用している右上腕の血液透析シャント刺入部の丘疹を自覚した.透析科で針を用いての除去を試みたが,成功しなかった.その後,丘疹は増大し,ステロイド外用では改善しなかった.同年7月,当科を紹介され受診した.シャント部皮膚に15mm大の痂皮を伴う結節を認め,周囲の発赤と下床の硬結がみられた.画像検査でシャントとの連続性を認め,その周囲に炎症を示唆する画像所見がみられた.透析シャントにみられる動脈瘤あるいは静脈の動脈瘤様拡張をシャント瘤と呼ぶことから,シャント瘤と診断した.また,臨床的に周囲の発赤がみられ,画像上炎症を示唆する所見を認めた.初診より約1か月後,シャント瘤摘除術の待機中に自宅で破裂した.シャント瘤は,破裂するリスクがあるため,早期の手術治療が必要とされている.
参考文献
1) 太田和夫:腎と透析 51:525, 2001
2) 塩田 潤,他:腎と透析 61:109, 2006
3) 沼田 明,他:動静脈瘤 ブラッドアクセストラブル:金原出版,p85, 2002
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