臨床皮膚科65巻12号

2011年11月発行

症例報告

眼囲に生じた色素性扁平苔癬の1例

著者： 時田智子¹ 森康記¹ 前田文彦² 赤坂俊英²

所属機関： ¹岩手県立中央病院皮膚科 ²岩手医科大学皮膚科学教室

ページ範囲：P.950 - P.953

要約　56歳，女性．初診の約2か月前から両眼囲にアイラインを引いたような独特の形状を呈する黒色皮疹が出現し，徐々に拡大した．皮膚病理組織は，組織学的色素失調の強い扁平苔癬であった．同様の皮疹は左耳後部と左大腿部にみられた．左大腿部の皮疹は黒色扁平隆起性局面を呈し，組織像も同様に色素性扁平苔癬であった．初診の約1年前からカンデサルタン内服の薬歴があることから，自験例はカンデサルタンが原因薬であると推察し，さらに眼科手術や化粧品などの物理的刺激によるKoebner現象が関与していると考えた．

参考文献

1) Vega ME, et al:Int J Dermatol 31:87, 1992

2) 海老原全，他：臨皮 42:265, 1988

3) Bhutani LK, et al:Dermatologica 49:43, 1974

4) 矢野道子，他：皮膚臨床 44:761, 2002

5) 柴田雅彦，他：皮膚臨床 45:1143, 2003

6) Boyd AS, et al:J Am Acad Dermatol 25:593, 1991