文献詳細
症例報告
文献概要
要約 49歳,女性.7か月前より右上眼瞼の皮下結節を自覚し,その後わずかに増大した.初診時,右上眼瞼鼻背寄りに皮膚常色で径5mm大の弾性硬の皮下結節を触知した.病理組織学的に単房性の囊腫であり,囊腫上皮は単層から数層の円柱上皮で構成され,断頭分泌を示していた.外層には筋上皮細胞を有していた.免疫組織化学染色で囊腫壁細胞はCEA陽性,EMA陽性,GCDFP-15陽性を示し,汗腺分泌部への分化傾向を有するアポクリン汗囊腫と診断した.一般にアポクリン汗囊腫は青色や黒色調を呈することが多いが,自験例では深在性で小さな病変であったため皮膚常色を呈したと考えた.眼囲に生じた皮下結節は,本症も鑑別疾患に挙げるべきである.
参考文献
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