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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻12号

2011年11月発行

文献概要

症例報告

左手背に生じたExophiala xenobioticaによる黒色菌糸症の1例

著者: 太田美和1 木下洋和1 上條麻弥1 新美美希1 小川祐美1 佐野文子2 比留間政太郎3 池田志斈1

所属機関: 1順天堂大学医学部皮膚科学講座 2千葉大学真菌医学研究センター 3順天堂大学練馬病院皮膚・アレルギー科

ページ範囲:P.999 - P.1003

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要約 79歳,女性.東京都在住.40歳より糖尿病.趣味は園芸.胆管癌を疑われ当院内科にて入院精査中であった.約1か月前に,外傷の既往なく左手背に類円形の痂皮を伴う小結節が出現し徐々に増大し,中央より排膿するようになったため当科を初診した.病理組織所見では,真皮内に膿瘍および異物巨細胞からなる肉芽腫が形成され,褐色の胞子連鎖や菌糸が多数みられた.膿汁と組織片の培養で黒色真菌が分離され,形態学および分子生物学的解析でExophiala xenobioticaと同定,同菌による黒色菌糸症(phaeohyphomycosis)と診断した.切除後3か月間イトラコナゾール100mg/日を内服した.術後1年3か月経過した現在再発はみられていない.本菌による感染症の症例報告では,われわれが調べえた限り,自験例が世界で3例目であった.

参考文献

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11) Aoyama Y, et al:Med Mycol 47:95, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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