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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻13号

2011年12月発行

症例報告

経表皮性排除を認めたsubepidermal calcified noduleの1例

著者: 甲田とも1 笠井弘子1 木花光1 高橋浩之2 中村宣子3 朝倉靖博4

所属機関: 1済生会横浜市南部病院皮膚科 2済生会横浜市南部病院小児科 3済生会横浜市南部病院病理部 4朝倉整形外科医院

ページ範囲:P.1054 - P.1058

文献概要

要約 1歳,女児.数日前より両耳後部と左側頭部に粟粒大までの黄白色丘疹が多発した.高カルシウム血症,基礎疾患などはなく,病理組織像よりsubepidermal calcified nodule(SCN)と診断した.被髪頭部に白色粒状丘疹の新生が続き,これは鑷子で出血もなく容易に剝離できた.この病理像は層状の角化物に覆われた,真皮と同様の構造物で,顆粒状の石灰沈着を認め,経表皮性排除された後のSCNと判明した.初診後3か月で皮疹はすべて自然消退した.過去20年間の論文によるSCNの報告に自験例を含めた20例中,多発例は9例であったが,皮疹の新生,自然消退を繰り返した例は自験例のほかに1例のみであった.経表皮性排除は5例で認めたが,完全に排出された後の臨床像,病理組織像を捉えた例は自験例のみであり,真皮の構造が比較的保たれていたのが印象的であった.

参考文献

1) David EE, et al:Lever's Histopathology of the Skin, 9th ed, Lippincott, Philadelphia, p444, 2005
2) 小西紀子,他:皮膚臨床 44:820, 2002
3) 木花いづみ:皮膚臨床 46:1150, 2004
4) 時光玲子:臨皮 54:266, 2000
5) 島田 稚:皮膚臨床 38:323, 1996
6) 藤田 優:皮膚臨床 32:1792, 1990
7) 泉 美貴:病理と臨床 28:412, 2010
8) 谷田由香,他:皮膚臨床 42:208, 2000
9) 中村敦子,他:皮膚臨床 37:2060, 1995
10) 中西 浩,他:皮膚病診療 14:999, 1992

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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