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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻13号

2011年12月発行

文献概要

症例報告

切除範囲の決定にマッピングバイオプシーを用いた鼻部基底細胞癌の1例

著者: 若林祐輔1 貫野賢1 寺田美奈子1 小森敏史1 浅井純1 竹中秀也1 加藤則人1 森原潔2

所属機関: 1京都府立医科大学大学院医学研究科皮膚科学 2社会保険京都病院皮膚科

ページ範囲:P.1075 - P.1078

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要約 81歳,男性.右鼻翼部の米粒大黒色結節を主訴に受診した.前医の皮膚生検の結果は,基底細胞癌であった.ダーモスコピーでは黒色結節周囲に樹枝状血管拡張や白色局面などの所見が観察された.当初,結節部より5mmのマージンをとって切除したが断端陽性であった.再度手術を施行したが,切除断端の陽性を繰り返し,最終的に切除範囲の同定にマッピングバイオプシーを用い,計6回の手術を要した.本症例のように,日本人においても基底細胞癌はまれに無~低色素性に病変を形成し,黒色結節の周囲に広範囲の無~低色素性病変を形成する症例では,境界が不明瞭なため切除範囲の決定に苦慮することがある.マッピングバイオプシーはこのような症例において,有効な手段の1つであると考えた.

参考文献

1) 大藤 聡,他:臨皮 61:267, 2007
2) 竹之内辰也,他:臨皮 54:481, 2000
3) 基底細胞癌(BCC),日本皮膚悪性腫瘍学会編「科学的根拠に基づく皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン」Ⅲ,第1版,金原出版,p59, 2006
4) Sexton M, et al:J Am Acad Dermatol 23:1118, 1990
5) 織田知明,他:Skin Cancer 14:172, 1999
6) 大畑恵之:皮膚臨床 50:1377, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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