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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻13号

2011年12月発行

文献概要

症例報告

Desmoplastic malignant melanomaの1例

著者: 加藤潤史1 田口理史2 寺本由紀子3 山本明史3

所属機関: 1札幌医科大学皮膚科 2深谷赤十字病院皮膚科 3埼玉医科大学国際医療センター皮膚腫瘍科

ページ範囲:P.1079 - P.1083

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要約 58歳,男性.左胸部に生来よりあった黒色斑が徐々に増大し受診した.左前胸部に51×32mm大,不整形の紅色~褐色~黒色斑をみる.超音波検査では腫瘍内部にサンゴ状に分岐した血流所見を認め悪性を疑う像であった.ダーモスコピー像で,atypical pigment netowork,blue-white structures,regression structure,linear-irregular vessels,milky-redを認め,悪性黒色腫を疑い切除した.病理組織像では,真皮全層~皮下脂肪組織にかけて異型性のある紡錘形の核をもつ腫瘍細胞が,胞巣を形成せず,びまん性に浸潤していた.膠原線維や血管の増生もみられた.免疫組織化学染色では,S100蛋白,ビメンチンは胞巣部,紡錘形の腫瘍細胞部ともに陽性であったが,HMB-45,melanAでは表皮~真皮浅層の胞巣を形成する腫瘍細胞が陽性で,紡錘形の腫瘍部は陰性であった.以上からdesmoplastic malignant melanomaと診断した.本腫瘍は稀な悪性黒色腫の一亜型である.そのためダーモスコピー所見の報告は非常に少ないが,膠原線維の増生が多いため,regression structureは本腫瘍に特徴的なダーモスコープの所見と考えられる.

参考文献

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9) Busam KJ, et al:Am J Surg Pathol 28:1518, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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