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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻2号

2011年02月発行

文献概要

症例報告

ソラフェニブによる多形紅斑型薬疹の1例

著者: 松本玲子1 松村由美1 宮地良樹1

所属機関: 1京都大学大学院医学研究科皮膚科学教室

ページ範囲:P.127 - P.130

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要約 78歳,男性.転移性腎細胞癌に対しソラフェニブ400mg/日の内服を開始した.開始7日目に足に紅斑,小水疱,疼痛を認め手足症候群と診断されステロイド外用を開始した.しかし皮疹はさらに増悪し続け,14日目には全身に広がり,微熱および粘膜疹も伴った.皮疹はターゲット様紅斑であり,病理組織像にて表皮基底部の空胞変性,軽度のリンパ球浸潤,異常角化細胞を認め,真皮浅層でリンパ球,好酸球浸潤を認めた.以上よりソラフェニブによる汎発性多形紅斑型薬疹と診断,同剤を中止しステロイド20mg/日の内服を開始した.以後皮疹は改善傾向となり,ステロイドも漸減し治療10日目にはすべての皮疹が改善した.ソラフェニブによる多形紅斑の報告は少なく,今回その稀な1例を経験したため,類似症例との比較検討を加えて報告する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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