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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻2号

2011年02月発行

文献概要

症例報告

蜂窩織炎を伴ったアカツキ病の1例

著者: 江野澤佳代1 関東裕美1 大橋則夫1 伊藤正俊1

所属機関: 1東邦大学医学部第一皮膚科学教室

ページ範囲:P.161 - P.165

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要約 80歳,女性.自宅はゴミ屋敷で元来自宅からほとんど出ず通院歴もない.少なくとも最近3年以上入浴していない状態であった.2009年6月頃より両下腿の浮腫,滲出液がみられタオルを巻いて放置していた.2009年11月より歩行困難となり翌日当院に救急車搬送された.受診時,両下腿~足背に落屑を伴う黄褐色疣状角化性局面が集簇し,著明な浮腫・発赤を伴っていた.右下腿外側には小豆大までの紅色結節が集簇し手掌大の乳頭腫状局面を形成していた.右下腿外側乳頭腫状局面より生検を行った.表皮に細胞異型性はなく真皮乳頭層の毛細血管の増生と血管壁の肥厚が目立っていた.血液検査ではアルブミン低値と炎症所見があり,下肢静脈超音波検査で左膝窩静脈以下に血栓を認め,下腿浮腫と蜂窩織炎を合併したアカツキ病と診断した.抗生剤の投与と洗浄ならびに10%サリチル酸ワセリンODTで軽快した.

参考文献

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18) 山田秀和,吉田正己:皮膚病診療 6:141, 1984

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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