icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻3号

2011年03月発行

文献概要

症例報告

急性腹症をきたした遺伝性血管性浮腫の1例

著者: 金田和宏1 木ノ内基史1 岡山大志2 岡村幹郎2 新居利英2 飯塚一3

所属機関: 1深川市立病院皮膚科 2深川市立病院外科 3旭川医科大学皮膚科

ページ範囲:P.209 - P.212

文献購入ページに移動
要約 16歳,女性.初診の2日前から手の浮腫と紅斑を生じた.父親に誘因がなく手が腫れるという既往歴があった.C1エステラーゼインヒビター活性が25%以下と著明に低下していたことから,遺伝性血管性浮腫(HAE)と診断した.トラネキサム酸1,500mg/日の内服で軽快していたが,約3か月間の内服後に自己判断で中止していた.中止の約8か月後に急激な腹痛・嘔吐をきたし,急性腹症の診断で外科に入院した.腹部造影CT検査で小腸壁の著明な肥厚と腹水の貯留を認めた.臨床症状と併せて,HAEに伴う腸管障害と診断し,絶食・補液で臨床症状は改善した.HAEは皮膚症状以外にも,喉頭浮腫・腸管障害などの他臓器症状を伴うことがあり,不要な外科的侵襲を避けるなど適切な対処が必要である.

参考文献

1) Osler W:Am J Med Sci 95:362, 1888
2) Donaldson VH, Evans RR:Am J Med 35:37, 1963
3) Sim TC, et al:JAMA 88:656, 1990
4) 柴原 正,他:臨皮 40:673, 1986
5) 福永瑞穂,他:臨皮 54:309, 2000
6) Gompels MM, et al:Clin Exp Dermatol 139:379, 2005
7) Sheffer AL, et al:N Engl J Med 287:452, 1972

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?