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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻3号

2011年03月発行

文献概要

症例報告

乳癌術後に左腋窩近傍に生じた乳房外Paget病の1例

著者: 京谷樹子1 木村聡子1 松永るり1 齋藤千尋1 山口奈央1 川上民裕1 相馬良直1

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.253 - P.256

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要約 41歳,女性.2004年10月,左乳癌にて左乳腺全摘術および乳頭乳輪合併切除術を施行した.病理診断は乳頭腺管癌で,乳管内伸展を認め尾側断端が陽性,腋窩リンパ節に転移はなく,Stage ⅡBであった.術後,放射線療法と化学療法が施行された.術後4か月に,左腋窩近傍に自覚症状のない皮疹が出現し,徐々に拡大した.乳癌術後約4年が経過した当科初診時,腋窩近傍の左胸部に42×24mmの境界明瞭な角化性紅斑を認めた.病理組織で,表皮全層にわたり胞体の明るい細胞が胞巣を形成して増殖し,一部真皮上層に浸潤していた.腫瘍細胞は,PAS染色,CEA染色にて一部陽性であった.以上より乳房外Paget病と診断し,腫瘍切除および分層植皮術を行った.外陰部,腋窩,肛囲以外の乳房外Paget病は稀であるが,過去の報告例とあわせるとアポクリン腺の存在部位と重複してみられており,アポクリン由来説を支持する結果であった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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