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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻3号

2011年03月発行

文献概要

症例報告

足趾断端形成術後に鼠径リンパ節転移を生じた爪部有棘細胞癌の1例

著者: 椛沢未佳子1 宮﨑安洋1 西岡清1

所属機関: 1横浜市立みなと赤十字病院皮膚科

ページ範囲:P.257 - P.260

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要約 49歳,男性.初診の約2年前より左第5趾に小さな腫瘍が出現し,徐々に拡大した.腫瘍周囲に発赤・腫脹も出現したため,近医皮膚科受診し,抗生剤内服治療を受けたが症状は改善せず,当科を紹介された.初診時,左第5趾は暗紅色調に腫脹し,爪甲は表面角化性に隆起していた.生検で爪部有棘細胞癌stage Ⅲと診断し,足趾切断術を実施した.初診時CTにて鼠径リンパ節腫脹を認めなかったが,術後7か月目に触診で左鼠径部皮下に圧痛を伴う胡桃大の腫瘤を確認した.CTと腫瘤の生検を行い,左鼠径リンパ節転移を認めたため,リンパ節郭清術と放射線治療を実施した.術後5か月の現在,転移・再発はない.爪部の難治性皮膚病変は本症を念頭に置き,積極的に生検を行い,少なくともstage Ⅲの場合はセンチネルリンパ節生検を実施すべきと考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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