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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻3号

2011年03月発行

文献概要

症例報告

再発性肝細胞癌に対し,内胸動脈にて経カテーテル動脈塞栓術を行った後に生じた皮膚壊死の1例

著者: 中村善雄1 田村舞1 高江雄二郎1 石井健1 大山学1 谷川瑛子1 海老原全1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.265 - P.268

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要約 74歳,男性.肝細胞癌に対する5回目の肝動脈および内胸動脈へ経カテーテル動脈塞栓術(TAE)施行後の翌日より右季肋部に紅斑が出現し,次第に境界明瞭な壊死局面を形成した.再発性の肝細胞癌であり,肝動脈へのTAEが繰り返されたため,固有肝動脈からの栄養血管がほぼ途絶し,内胸動脈からの側副血行路が発達していた.そのため5回目のTAEでは内胸動脈からも塞栓物質を注入したことにより,内胸動脈分枝である筋横隔動脈や上腹壁動脈の支配する表在血管が途絶し,皮膚壊死をきたしたものと考えた.通常の肝動脈を用いたTAEによる皮膚壊死の報告は極めて稀であるが,肝細胞癌の治療においてTAEの役割は大きくなっており,今後同様の症例の増加が考えられ,特に注入方法によっては注意すべき合併症と思われた.

参考文献

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7) 池田健次:肝細胞癌の予防・診断・治療.メディカルレビュー社,p145, 1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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