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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻4号

2011年04月発行

文献概要

症例報告

乳頭部腺腫の1例

著者: 大澤学1 爲政大幾1 岡本祐之1 山本大悟2

所属機関: 1関西医科大学皮膚科学講座 2関西医科大学外科学講座

ページ範囲:P.319 - P.322

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要約 31歳,女性.当科初診の3年前から右乳頭に滲出液が生じ,外用治療を受けたが改善しなかった.当科受診時,右乳頭に紅色局面とその中心にびらんがみられ,ダーマスコピーではびらん部に不規則な毛細血管拡張がみられた.病理組織像では上皮細胞とその周囲を取り囲む筋上皮細胞の2層構造からなり,分裂像は少数で,細胞異型もなかった.病理組織所見と発生部位から乳頭部腺腫(adenoma of the nipple)と診断した.本症は病理組織学的に偽浸潤像がみられることから,しばしば悪性と誤診され,乳房切断術などの過剰な治療が行われることがある.そのため,乳頭の病変では本疾患を念頭に置き,病理組織所見を慎重に検討したうえで,治療に当たることが必要と考えた.

参考文献

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12) 井関俊彦,他:日臨外医会誌 52:1494, 1991

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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