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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻4号

2011年04月発行

症例報告

肛囲Paget病の1例

著者: 安藤実緒1 鳥居秀嗣1 岡本欣也2 佐原力三郎2

所属機関: 1社会保険中央総合病院皮膚科 2社会保険中央総合病院大腸肛門科

ページ範囲:P.331 - P.334

文献概要

要約 68歳,男性.3年前より肛囲に搔痒を伴う紅斑が出現した.肛門周囲に9×4cm大の脱色素斑を伴う紅斑を認め,皮膚生検にて肛囲Paget病または隣接臓器癌のPaget現象と診断した.下部消化管内視鏡検査などにて直腸肛門癌は明らかでなく,免疫組織化学的所見にて腫瘍細胞はcytokeratin(CK)20陰性,CK7陰性,gross cystic disease fluid protein(GCDFP)15陰性であった.肛囲Paget病と診断し,皮膚側は病変より3cm,粘膜側は1cm離して切除し,V-Y皮弁および分層植皮にて再建を行った.肛囲Paget病と直腸肛門癌のPaget現象は,それぞれ治療法も予後も異なるため両者を鑑別することが重要である.これらの鑑別にはCK20,CK7,GCDFP15による免疫組織化学染色が有益である.しかし,自験例では,これらすべてが陰性を示した.最終的に隣接臓器癌を証明しえなかったことより,肛囲Paget病と診断した.

参考文献

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7) Werling RW, et al:Am J Surg Pathol 27:303, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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