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特集 最近のトピックス2011 Clinical Dermatology 2011 3.新しい検査法と診断法
梅毒血清検査のプロゾーン現象―梅毒自動分析法を含めて
著者: 大野貴司1
所属機関: 1くらしき作陽大学食文化学部栄養学科
ページ範囲:P.70 - P.74
文献購入ページに移動要約 梅毒は梅毒トレポネーマによる性感染症である.梅毒の診断は臨床症状,病変部からの直接病原体検出,免疫血清学的検査などにより行われる.近年,従来の用手法に代わり多くの施設で自動分析装置による梅毒検査が導入されている.自動分析に使用する測定キットにより測定値の単位,陽性判定境界値が異なる場合があり,梅毒症例の治療の機会が多い皮膚科医はその測定法に精通する必要がある.自動分析による梅毒検査では混濁度を測定して判定するので,測定値の比例性が保たれる測定範囲が定められている.測定はその範囲内で行われる必要があり,それを超える値を示す場合は検体の希釈が必要である.また,高抗体価の検体ではプロゾーン現象と呼ばれる沈降反応や凝集反応を用いる検査でみられる偽陰性反応が生じることがあり,臨床症状と検査値との乖離がみられる場合には希釈検体を使用し再検査するなどの検討を要する.
参考文献
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