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特集 最近のトピックス2011 Clinical Dermatology 2011
4.皮膚疾患治療のポイント
文献概要
要約 塩化アルミニウム水溶液は,古くから多汗症の外用療法として広く用いられ院内製剤として普及している製剤であり,原発性局所多汗症診療ガイドライン作成時に治療方法の第一選択となっている.しかし,発汗量が中等症以上の掌蹠多汗症には,塩化アルミニウムの単純外用のみでは改善が乏しい.そこで,発汗量が1mg/cm2/分以上の重症手掌多汗症患者53例を対象とした20%塩化アルミニウム溶液のODT(occlusive dressing therapy,密封療法)治療群と,同様に重症と診断された13例を対象としたA型ボツリヌス毒素製剤(BOTOX®)投与群の,1か月での治療前後を検討したところ,ODT療法群はボツリヌス毒素製剤投与群と同様に1か月後,発汗量の有意な低下を認め,有効な治療法であると考えられる.副作用として主に認めたものは,外用薬による刺激皮膚炎であった.
参考文献
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