臨床皮膚科65巻5号

2011年04月発行

特集 最近のトピックス2011　Clinical Dermatology 2011

4．皮膚疾患治療のポイント

天疱瘡の新しい病勢評価法PDAI(Pemphigus Disease Area Index)と治療

著者： 谷川瑛子¹

所属機関： ¹慶應義塾大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲：P.110 - P.113

文献概要

要約　天疱瘡は表皮細胞間接着構造デスモゾームの接着分子であるデスモグレインに対する自己抗体を病因とする自己免疫水疱症である．天疱瘡の診断法は臨床症状，病理組織所見，蛍光抗体直接法・間接法からELISA，免疫ブロット法まで，時代とともに確立してきた．一方，天疱瘡の治療はステロイド内服を基本としているが，難治例では血漿交換，大量免疫グロブリン静注療法(大量IVIG)，免疫抑制剤の併用など多岐にわたる．天疱瘡の病勢評価から治療法の選択まで，従来統一した指標がなく，エキスパートの経験に基づいて行われてきた．生物製剤などの新しい治療が導入されつつある治療現場では，病勢を客観的に評価する指標とそれに基づく治療効果判定が求められている．本稿では国際的に使用されている天疱瘡病勢判定基準と本邦でこれから使用する重症度判定基準PDAI(日本語版)を紹介し，天疱瘡治療における位置づけについて概説する．

参考文献

1) Amagai M, et al:Cell 67:869, 1991

2) Amagai M, et al:J Am Acad Dermatol 40:167, 1999

3) Amagai M, et al:Br J Dermatol 140:351, 1999

4) Murrell DF, et al:J Am Acad Dermatol 58:1043, 2008

5) Pfutze M, et al:Eur J Dermatol 17:4, 2007

6) Rosenbach M, et al:J Invest Dermatol 2009 Apr 9.［Epub ahead of print］

7) Ikeda S, et al:Arch Dermatol Res 295(Suppl 1):S12, 2003

8) 天谷雅行：PDAI(Pemphigus Disease Area Index)と新しい天疱瘡評価法の検討：稀少難治性皮膚疾患に関する調査研究，平成20年度総括・分担研究報告書，p23，2009

9) 天谷雅行，他：日皮会誌 120：1443. 2010

10) 安岡英美，他：天疱瘡の治療方針の決定における臨床症状スコア(PDAI)とELISAスコアの有用性の検討．第73回日本皮膚科学会東京支部学術大会，2009