文献詳細
Derm.2011
文献概要
3,000以上あるといわれる皮膚疾患に対し,誰もが満足する分類法があるのでしょうか,という問題です.これについては,東西の文献を博捜した上野賢一先生の総説1)があります.上野先生の謦咳に接した者の甘えで,今回似たようなタイトルを掲げさせていただきました.
数学的には「醜い家鴨の仔の定理」2)というのが存在します(メラノーマのugly duckling signとは別物).すなわち,2つの事物に共通する述語の数は事物によらず同じであることが証明されているのです.共通する述語の数=類似度とし,述語を等価と考える限り,ヒトの主観を離れた客観世界では,異なる事物はすべて同じくらい似ていることになります.それをヒトが認知すると,個物は「ある共通点」によっていくつかのグループに分けられる,これが分類の始まりでしょう.世界を無定形の渾沌と認識したままでは生命活動が行えないと考えると,この機能はヒトがヒトたる(あるいは生物の生物たる)所以と思われます.
数学的には「醜い家鴨の仔の定理」2)というのが存在します(メラノーマのugly duckling signとは別物).すなわち,2つの事物に共通する述語の数は事物によらず同じであることが証明されているのです.共通する述語の数=類似度とし,述語を等価と考える限り,ヒトの主観を離れた客観世界では,異なる事物はすべて同じくらい似ていることになります.それをヒトが認知すると,個物は「ある共通点」によっていくつかのグループに分けられる,これが分類の始まりでしょう.世界を無定形の渾沌と認識したままでは生命活動が行えないと考えると,この機能はヒトがヒトたる(あるいは生物の生物たる)所以と思われます.
参考文献
1) 上野賢一:皮膚病の分類は可能なのだろうか.皮膚病診療26:538, 2004
2) 渡辺 慧:認識とパタン.岩波書店,1978
3) ボルヘスJL(中村健二訳):続審問,岩波書店,2009
掲載誌情報