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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻5号

2011年04月発行

文献概要

Derm.2011

皮膚科臨床実習につきあって

著者: 藤山幹子1

所属機関: 1愛媛大学大学院医学系研究科感覚皮膚医学

ページ範囲:P.149 - P.149

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 大学病院に勤務しているため,もう10年以上,主に外来診療部門で,5,6年生の臨床実習につきあっています.実習では,初めて受診される患者さんの予診を学生にとらせます.最近では,OSCE(オスキー)という診察と問診の試験を受けてから実習に臨みますので,彼らの問診の姿勢はまずまずです.以前は,タメグチで話したり,足を組んだまま患者さんと話したりする学生がおり,あとで説教したり,あるいはその場で足を払ったりしていましたが,今はその心配はありません.しかし,医学生とはいえほぼ素人のこと,横についているこちらはヒヤヒヤしっぱなしです.患者さんの表情をうかがい,的を射ない質問が連続していたら,すかさずこちらから質問を繰り出し,早々に切り上げます.

 問診のあとは,カルテにそれを記載させますが,主訴を埋めるだけで一苦労.主訴は,どこに何があるかを原発疹,続発疹の用語で書くようにと指導していますが,「主訴は患者のことばで書くように言われました」と納得いかない表情をする学生もいます.しかし,「内科でもお腹が痛いとは書かずに腹痛と書くでしょう」と説明すると,「ブツブツ」を赤色丘疹と置き換えることに納得.現病歴は,さらにしつこいくらい訂正を入れます.彼らの勉強のためといいつつ,実は記録が私の名前で残るので,後日カルテを見た人に藤山が変な予診をとっていると思われたくない.また,学生はとにかく自分の体を動かさないと実習したという満足感を得られないということも,この10年強の経験でわかりましたので,KOH法やTzanck testも彼ら自身にさせるようにしています.もちろん検体は私がとりますが,その実習のために,1人の患者さんからスライド3枚分をコソコソとったりもしています.そして,見た目だけで診断をつけることができるのが,皮膚科の真骨頂でしょう.「なんでそんなに疾患を知っているんですか」と感心されたりして,皮膚科の20年選手をいったいなんだと思っているの?

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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