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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻6号

2011年05月発行

今月の症例

M蛋白血症を伴ったびまん性扁平黄色腫の1例

著者: 田中隆光1 大松華子1 大西誉光1 神田奈緒子1 渡辺晋一1

所属機関: 1帝京大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.382 - P.385

文献概要

要約 81歳,女性.10年前に高脂血症を指摘され食事療法で軽快した.2年前から両前腕が黄色となり自覚症状なく徐々に全身へ拡大した.3週間前から両上腕内側から腋窩に自覚症状のない紅斑が出現した.現症は顔面,掌蹠,腋窩,体幹の一部を除くほぼ全身に扁平隆起するびまん性の黄色局面があり,さらに両上腕内側から腋窩周囲に爪甲大までの浸潤性紅斑が散在した.採血で黄疸や高脂血症はなく,IgGが高値でIgGκ型M蛋白を認めたが,尿中Bence-Jones蛋白は陰性であった.多発性骨髄腫の精査はできなかった.病理組織像では,真皮上層に泡沫細胞が一部胞巣を形成し,真皮結合織間にも散見された.泡沫細胞の周囲や血管周囲にリンパ球が結節状に浸潤していた.リンパ球はそれぞれ半数がCD4,CD8陽性.CD10,20,30,56,Ki-67は陰性であった.全身の皮疹をびまん慢性扁平黄色腫と診断した.紅斑は確定診断できなかったが,4週間で消退し再燃はない.

参考文献

1) Altman J, et al:Arch Dermatol 85:633, 1962
2) 池田光徳:最新皮膚科学大系10巻,1版,中山書店,p50, 2003
3) Wolff K, et al:Fitzpatrick's Dermatology In General Medicine, 7th edition, vol.2, Mc Graw, New York, p1272, 2007
4) 菅野聖逸,他:臨皮 37:243, 1983
5) 山脇 考,他:愛媛医学 16:73, 1996
6) 余 幸司,他:日皮会誌 90:909, 1980
7) Jordon RE, et al:Clin Exp Immunol 18:407, 1974

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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