icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻7号

2011年06月発行

文献概要

症例報告

静脈に沿って分枝状を呈したリポイド類壊死の1例

著者: 大野美咲1 佐藤良博1 寺木祐一1 伊崎誠一1

所属機関: 1埼玉医科大学総合医療センター皮膚科

ページ範囲:P.497 - P.500

文献購入ページに移動
要約 61歳,女性.2001年当院初診時,両下腿伸側の静脈に沿って,母指頭大までの毛細血管拡張を伴った褐色斑を複数個認めたが,皮膚生検にて診断が確定しなかった.8年後,2009年再受診時,両下腿伸側に静脈に沿って分枝状に配列し,中心部瘢痕性で黄色調を呈し深部に板状硬結を触れる紅褐色局面がみられ,一部では潰瘍を形成した.超音波検査にて,局面に一致して,大伏在静脈血栓の所見が得られた.病理組織学的に真皮浅層~皮下組織の広範囲に膠原線維の類壊死を取り囲み,組織球,類上皮細胞,リンパ球,巨細胞が浸潤する柵状肉芽腫の像を認め,リポイド類壊死と診断した.糖尿病の既往はなかった.両下腿に静脈瘤がみられ,皮疹が拡張した静脈直上に配列し,静脈還流障害が本症の発症に関連した可能性を考えた.

参考文献

1) 矢島千穂,他:皮臨 41:1871, 1999
2) Ko CJ, et al:Lever's Histopathology of the Skin, 10th ed. by Elder DE, et al, Lippincott, Philadelphia, p365, 2009
3) Mizuno K, et al:J Dermatol Sci 24:166, 2000
4) 玉川理沙,他:臨皮 60:33, 2006
5) 吉田まり子,他:臨皮 60:1020, 2006
6) Nakajima T, et al:J Dermatol 36:166, 2009
7) Lowitt MH, Dover JS:J Am Acad Dermatol 25:735, 1991

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?