文献詳細
症例報告
文献概要
要約 41歳,女性.数年前に左上腕の自覚症状を伴わない皮下結節に気づいた.徐々に増大し,初診時には径12×13mm大の表面常色,骨様硬,軽度圧痛を伴う皮下結節であった.組織像では真皮深層から皮下脂肪識に境界明瞭な類円形の腫瘍塊を認め,腫瘍内には石灰化をきたした移行細胞と陰影細胞,骨細胞を含んだ骨基質が混在してみられた.最近5年間の当科における石灰化上皮腫33例を組織学的に検討したところ,骨化を認めた3例ではいずれも好塩基細胞はなく,陰影細胞の10%以上に石灰沈着を認めた.また,カルシウム沈着は好塩基性細胞に比して陰影細胞の割合が多い例に強くみられた.したがって経時的な陰影細胞の増加に伴い,カルシウムが沈着し骨化が生じると推測した.
参考文献
1) Malherbe A, Chenantais J:Progr Med 8:826, 1880
2) 玉置邦彦総編集:最新皮膚科学体系,第4巻,中山書店,p40, 2002
3) 清水 宏:あたらしい皮膚科学,中山書店,p360, 2006
4) 松川 中:西日皮膚 47:833, 1985
5) 新妻 寛:皮膚臨床 8:206, 1966
6) 富沢幸生:皮膚紀要 88:147, 1993
7) 廣瀬嘉恵:皮膚臨床 43:204, 2001
8) 江内田智子:臨皮 58:1179, 2004
9) Kurokawa I:Br J Dermatol 143:754 2000
掲載誌情報