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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻7号

2011年06月発行

症例報告

有茎性の外観を呈した巨大なaneurysmal fibrous histiocytomaの1例

著者: 中村善雄1 布袋祐子1

所属機関: 1荻窪病院皮膚科

ページ範囲:P.530 - P.534

文献概要

要約 74歳,男性.約9か月前より左大腿に特に誘因なく自覚症状を伴わない黒色皮疹が出現した.4か月前より急激に増大した.初診時,左大腿前側に8×4×2cm,弾性軟,暗紫色調の有茎性皮膚腫瘍を認めた.組織では典型的な皮膚線維腫の所見に加え,腫瘍内に毛細血管の拡張および増生,血液を容れる間隙を伴い,豊富なヘモジデリン沈着がみられた.また間隙辺縁には血管内皮細胞を認めなかった.腫瘍細胞に明らかな異型性はなく,aneurysmal fibrous histiocytoma(AFH)と診断した.自験例は本邦報告例で最大の大きさであったが,AFHは細胞成分の多い部分では結合織が疎であるため脆弱であるという性質から裂隙ができやすいこと,さらに血管成分が豊富で腫瘍が栄養されやすいため急激に増大し,有茎性になりやすいものと予想された.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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