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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻7号

2011年06月発行

文献概要

症例報告

肛囲に発生した基底細胞癌の2例

著者: 永松麻紀1 東祥子1 池田彩1 小澤健太郎1 田所丈嗣1

所属機関: 1国立病院機構大阪医療センター皮膚科

ページ範囲:P.535 - P.538

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要約 85歳,女性.初診の5年前より肛囲の腫瘤を自覚していた.初診時,肛門9時方向に長径20mmの中央に潰瘍を伴う扁平隆起性局面を認めた.病理組織学的には,真皮内に好塩基性で最外層に柵状配列を伴う大小の不整な胞巣を認め,周囲間質との間に列隙を形成していたため,基底細胞癌と診断した.68歳,女性.初診の4か月前より肛囲の腫瘤を自覚していた.初診時,肛門9時方向に18×11mmの有茎性隆起性腫瘤を認めた.病理組織学的には,1例目と同様の所見を認め,基底細胞癌と診断した.2例とも局麻下に切除術を施行し,現在まで再発を認めていない.基底細胞癌は大部分が露出部位に発生する.部位別頻度も顔面が最多で,続いて軀幹,頭部,下肢の順に多く,肛門・鼠径部を含む外陰部は1.9%に過ぎないと報告されており,肛囲の発生は極めてまれである.

参考文献

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9) 井階幸一,他:日皮会誌 94:1183, 1984

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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