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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科65巻7号

2011年06月発行

文献概要

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文献紹介 BAFFはB細胞受容体レパトワと自己反応性を制御する

著者: 吉田和恵1

所属機関: 1慶應義塾大学

ページ範囲:P.543 - P.543

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 BAFF(B-cell activating factor)はTNFサイトカインファミリーサイトカインの1つで,B細胞の生存,分化,恒常性の維持に重要な役割を果たす.BAFF過剰発現マウスでは,自己反応性B細胞が生き残り,自己免疫性疾患が誘導されることが知られている.全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)およびSjögren症候群の患者において,血清BAFF濃度の上昇が報告されている.現在,SLEに対する抗BAFFモノクローナル抗体療法の治験が行われており,効果がみられている.しかし,BAFFがpolyclonalな免疫系の中でどのように自己免疫疾患を誘導するのか,そのメカニズムは明らかでなかった.本論文では,特定の免疫グロブリン(Ig)L鎖を発現したときに自己DNAを認識するB細胞を有する,3H9部位IgH鎖遺伝子導入マウス(3H9マウス)を用いて,BAFFレベルの増減による影響を解析した.3H9マウスにおいてBAFFを過剰発現させたBAFF/3H9マウスでは,B細胞数が増加し,抗dsDNA抗体が血清中に多量に検出された.一方,BAFFの生理活性を抑制するΔBAFFを過剰発現させ,BAFF活性を低下させたΔBAFF/3H9マウスでは,B細胞数は低下しているが,免疫不応答状態にあると考えられるB細胞の割合が増加していた.血清中に自己抗体を検出しないΔBAFF/3H9マウスにおいても,自己反応性B細胞は検出されたが,それらの多くは特定のVκ鎖を有する免疫不応答状態にあるB細胞と考えられた.すなわち,BAFFはB細胞を増加させるだけでなく,免疫寛容の破綻と本来は成熟が抑制される自己反応性B細胞のpositive selectionをきたすことで自己免疫疾患を誘発することが示唆された.

参考文献

Ota M, et al:Regulation of the B Cell Receptor Repertoire and Self-Reactivity by BAFF. J Immunol 185:4128-4136, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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